時代のニーズに合わせた工夫~老年看護学~
2025.02.26
皆さんは「老衰・老衰死」という言葉を知っていますか?
医療の発達と高齢化社会が進んでいる現代では、老衰で亡くなる方が年々増加しています。
現在、我が国の平均寿命は世界一の水準であり、死因別では、「悪性新生物(腫瘍)」「心血管疾患」に並んで、老衰が第3位の死因になっています。老衰は、加齢に伴う心身の衰弱によって自然に亡くなることをいいます。
ちょっと驚くのは、老衰に関しては、どの教科書にもまだ掲載されていないことです。
看護の教育が始まったのは、1884年(明治17年)にさかのぼります。
教科書も同じように歴史を重ねてきたと思いますが、老衰で亡くなる方の看取りについては、十分に学ぶ準備ができていないのが現状です。
昔は、100歳を超えていても医療ケアを行い延命をするという風潮がありました。
現在は、対象者の意思を尊重し、健やかに老い、穏やかで安らかな自然の死を迎えられるよう、本人と家族の支援は看護師の重要な役割です。
私たちは現在、出版会社に老衰のケアについて教科書に載せてほしいと要望しています。
自然な人の死に向き合う機会を尊い経験として、当校では学生の学びを支えていきたいと思います。
看護学科 杉崎 真紀