当校の学生が全国看護学生作文コンクールに入賞しました
2023.07.07
第13回全国看護学生作文コンクールが「私と看護」をテーマに開催されました。
2,200通を超える応募の中から当校の学生が入賞いたしました。
受賞した学生は当初、看護師を志すことに迷いがあったそうです。しかし、患者さんとの関わりから看護師になる意志を強めることができたと語り、現在も学習に励んでいます。
学校長と共に受賞をお祝いしました。
学生 受賞作品
「看護師への道」
自分の家族が病気になった時、寄り添い、励ましてくれた看護師の方々への感謝と憧れの気持ちから看護師への道を選んだ。それともう一つ、家族が抱えていた病気にしっかりと向き合えなかった自分への後悔からである。しかし、家族の病気にしっかりと向き合えなかった自分が、痛みや苦しみ、悲しみを抱える患者さんと向き合うことなんてできるのだろうか。そんな私が看護師になるべきではないのだろうか、なっても良いのだろうか。今まで何度も自問自答したが、答えが出ることはなかった。
初めての臨地実習。私が受け持たせて頂いた患者さんは、股関節を人工股関節に置き換える手術の術後入院中だった。手術後は脱臼を防ぐために膝を抱えるような動作をしてはいけないことを初めて知った私は、そのような動作制限があると日常生活でどのような不自由があるだろうかと考えた。そこで、靴下を履く時には膝を抱えるような状態にしないといけないことに気づき、その場合はどのように靴下を履くのか調べてみた。するとソックスエイドという靴下を履くための補助具があることを知り、それが手作りできるということも分かった。手作りできるのであれば患者さんのために作りたいと思い、教員や指導者の方の許可を得て作ってみることにした。普段着ている服や身につけているものから、柄や好みの色を考えながら作った。完成したソックスエイドを患者さんに渡すと、驚くのと同時に非常に喜んで下さり、その日から一緒に靴下を履く練習をした。履き口が緩いものやきついものなど色々挑戦し、うまく履けた時には一緒に喜び、失敗した時はどうやったら上手くいくか一緒に考えた。
実習最終日、「本当に色々とよくしてもらってありがとうね。これからも頑張ってね。私こういうことでいつもは泣かないんだけれど。」と目に涙を浮かべながら言って下さった。私も伝えたいことはたくさんあったが、今までの感謝の気持ちや、寂しさで涙が溢れそうになり「お互いリハビリと学校、頑張りましょうね。」と言うのが精一杯だった。
今回初めての臨地実習を終えたが、自分は看護師になるべきではないのだろうか、なっても良いのだろうかという問いの答えはまだ見つからない。自分自身が納得できるような答えはこれからもずっと見つからないのかもしれない。自分が選んで決めた道を迷いなく突き進むことはできず、迷いながら進んでいる。しかし、考えれば考える程その人に寄り添うことができる看護というものは非常にやりがいがあり、また魅力的であり、私はこの仕事がとても好きだと今回の実習を通して感じた。実習最終日の患者さんの涙、かけて下さった言葉、そして受け持ち期間中に見せてくれたたくさんの笑顔は、私が迷いながらも進んでいる看護師への道の歩みを進められるよう、そっと背中を押してくれたような気がする。