厚木看護専門学校

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あつかんコラム

忘れられない看護(教育)エピソード ~患者さんの‟食べたい”を支える看護~

2021.01.20

毎日の生活の中での重要な楽しみのひとつとして、食事が挙げられると思います。その食事を楽しめなくなったら、どんな気持ちになるでしょう。

食べることが楽しみである患者さんと家で一緒に過ごしたいという家族の思いを尊重し、自宅で食事や生活が出来るのかを考えることで患者さんの変化につながった出来事を経験しました。

病気により、言葉がうまく話せず、認知症があり、食事がとれなくなってしまった患者さんを受け持ちました。表情も固く、無表情で、食事はバナナ1本しか食べられませんでした。家族は毎日面会に来ており、「食べることが楽しみで、少しでもご飯を食べて欲しい。そして家に帰らせたい」と涙ながらに話されました。家での生活や好きな食べ物などの話を伺いました。すると、食器(器(うつわ))が大好きなことと、煮物や佃煮が好きなことが分かりました。そこで、家で使用していた箸や茶碗、お椀と手作りの煮物や佃煮を依頼し、家族と一緒に食事が出来る機会を設けました。箸や茶碗、料理を見つけると凝視し、自ら箸を持ち、少しずつ食事を口に運びました。その後、繰り返していくことで、摂取量と笑顔も増え、家に帰ることができたのです。おいしく、楽しく食べられるように環境を調整し、食事の方法を考えることが大切だと思えた経験でした。

教員S

 

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