厚木看護専門学校

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看護への情熱がみがかれていく。

あつかんコラム

忘れられない看護エピソード「その人らしく生を全うする看護」

2021.03.10

A氏は、私の准看護師時代、看護師になる必要性を強く感じるきかっけとなった患者さんです。40代の男性で甲状腺がん原発、腰椎転移で下半身麻痺があり、余命数か月でした。A氏は最期を何処で迎えるのかを迷い、妻は夫の意思を尊重しながらも在宅療養に不安があり、お互いを思いながらも、本音で話ができていませんでした。そのため、様々な選択肢を提示して、A氏の「自宅で最期まで生活したい」という意思を尊重し、在宅療養が始まりました。

まず、終末期ケアの往診医探しから始め、治療方針の変更が可能であることを伝えました。疼痛コントロールにより殆ど痛みを感じることがなくなりました。リビングに介護ベッドを設置し、A氏を中心とした生活になりました。毎日家族と共に食事を摂り、時にワインを飲み、浴室で入浴し、家族との会話も楽しみました。

そして、看取りについては何度も迷い話し合って、住み慣れた‘家’、慣れ親しんだ‘部屋’と決め、A氏には最高の療養環境となりました。最大の介護者は妻であり、A氏にとって安寧な時間であり、A氏の望む最期の時間でした。足浴と下肢マッサージ実施数時間後の早朝に家族に看取られ旅立たれました。私にとって、その人らしく生を全うする看護の大切さを学んだ大切な出会いでした。

教員 小泉由香里

A氏の家にはいつもラベンダーが飾られていました。

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