厚木看護専門学校

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あつかんコラム

海外の看護事情~アメリカと日本の自己決定の違い~

2025.07.02

本日からアメリカ中心に、学生の実習体験などを通して「日本と海外の看護の違い」を紹介します。”違いを知り、支える看護”を一緒に考えてみませんか?

第1回目は医療に対する自己決定の違いです。
看護は「相手の意思を尊重する」ことが基本です。特にアメリカの看護では、患者自身が医療の選択にしっかり関わる「自己決定」が重視されており、日本の医療文化と大きく異なります。 

以前、入院中のアメリカ人の患者さんに薬を渡そうとしたとき、「何の薬ですか?」と聞かれました。説明をすると、その中の睡眠薬について「私はこの薬はいりません」とはっきり断られました。薬を渡せば自然と内服する方がほとんどだった私にとって、このやり取りはとても印象に残りました。自分の体に入れる薬を、患者自身が必要かどうかを判断する姿勢に驚いたのです。一方、日本では手術や治療の説明を受けたあとに「まな板の上の鯉だから、もうお任せします」と表現される方が多く見られます。これは医師に全てを委ねることへの信頼の表れでもあります。しかし、どちらの文化にも共通しているのは、「患者さんが納得して医療を受けることが大切だ」という考えです。看護師はその橋渡し役として、どんな患者にも寄り添える力が求められます。将来看護師を目指す皆さんにも、国や文化の違いを学ぶことで、より深い“支える力”を育ててほしいと願っています。

看護学科 赤堀 貴子

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