厚木看護専門学校

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あつかんの看護学校コラム

映画「国宝」をきっかけに、患者との会話が広げてくれる看護の世界

2025.09.03

病院実習でのことです。ある患者さんが「退院したら映画『国宝』を見に行きたい」と話しました。学生は映画の名前は知っていたものの、内容までは知らず、調べてみると歌舞伎の裏側を描いた人間模様がテーマで、とても面白そうだと感じたそうです。

学校では「患者さんを身体だけでなく心や生活も含めて理解する」と学んでいましたが、実際には実感を持てませんでした。けれど「映画を見たい」という言葉をきっかけに、患者さんを病気の人ではなく、趣味を語る一人の人として身近に感じられたのです。

さらに患者さんは「3時間も座って映画を見られるだろうか」と不安を口にしました。そこでリハビリの目標は「長時間座れること」と設定され、前向きに訓練に臨めるようになったのです。学生は看護が生活を支えることに直結するのだと気づきました。

また映画は自分が楽しむだけのものと思っていましたが、この体験を通じて「隣の人はどんな思いで座っているのか」と想像するようになり、映画館で過ごす時間をより豊かに感じるようになったのです。患者さんとの関わりを通じ、自分の世界も広がっていくことに、看護のやりがいを深く実感しました。

看護学科 赤堀 貴子

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